小説

らき☆ぽけ



第1話「夢の世界はポケモンワールド!!」




ここはどこ?

私は・・・今どこにいるのよ・・・



柊かがみは驚いていた。


確かにかがみは自宅のベットで眠っていた。

しかし・・・目が覚めるとそこには見知らぬ景色・・・

・・・草原のような・・・そんな殺風景な風景。

しかし、人のいない無人島ではないらしい。

周りを見渡すと、何やら建物らしきものがみえる。

かがみはとりあえず立ち上がると、ひとまずそこへ向かって歩き出すことにした。

「人がいるといいな・・・。できればまともな人間が・・・。」


かがみは多大な不安と少しの希望を抱えながら、のろのろと歩を進める。

少し歩いていると・・・突如、脇の草むらがガサガサと動きだした。

「・・・?」

かがみは何事かと思い、その草むらの方を見る。

「キ―ッ!!」

突如、草むらから勢いよく小さいネズミらしきものが飛び出してきた!!

「な、何よ?これ!!」

当然かがみは驚く!!

何より、そのネズミのような生物が奇妙な紫色の毛をしており、前歯も普通の歯よりも明らかに長く鋭い・・・!!

そして・・・

(なんだろう・・・どことなく見覚えがあるような・・・まさかこれって・・・)

かがみはすぐに嫌な感覚を覚えた。

それは、本来自分の前に現れてはいけないもの・・・というか決して現れ得ないもの・・・。

「まさか・・・ポケモン・・・・のコラッタ?」

かがみも一度は目にしたことのあるその姿にかがみの混乱は増す。

「そ、そうか・・・夢・・・夢よね?何で気付かなかったんだろう・・・。こなたが昼間にあんなこというから・・・」

かがみはそう自分に言い聞かせながら・・・目の前にいるコラッタをまじまじ見つめる。

「なんかこの子・・・攻撃的っぽいわね・・・あまり関わらないほうがいいかしら?」

そう察したかがみは・・・ゆっくりと後ずさりをしながらそのまま町の方へとダッシュした。



「はぁはぁ・・・なんで夢の中で疲れなきゃいけないのよ・・・」

およそ・・・500M・・・かがみはほぼ全力疾走で逃げた。

そして、そのまま見えていた街へとたどり着いた。

ゲートには『新たな風吹く町・ミックタウン』と書かれていた。

「ミックタウン・・・?ポケモンにこんな町あったかしら?」

かがみは息を整えると、とりあえず情報を求め、町を探索することにした。

「一度はこういう世界で冒険したいなぁとかって昔つかさが言ってたな・・・。私もどうせ夢ならこのポケモンの世界を満喫するかな?」

かがみは気持ち前向きに、町の探索を続ける。

町にはポケモンセンター、フレンドリーショップといったポケモン世界では必要不可欠な施設のほかに、町の奥に研究所らしき場所があった。

「研究所・・・確かゲートには『新しい風』ってあったからもしかして・・・」

かがみは少しの確信を抱きながら、ゆっくりと研究所の扉を開く。

「ごめんくださーい!」

「ん?」

遠慮がちに入ってきたかがみを出迎えたのはボロボロの白衣を着た眼鏡の老人だった。

頭は白髪アフロでかがみはついその頭に目が行ってしまった。

「すいませーん・・・えっとわたし柊かがみっていうんですけど・・・ちょっと色々お聞きしたいことが・・・」

「まぁまぁ!!そう固くなるでない!!ほれほれ座りなさい。」

アフロの老人はかがみの姿を見るや否や慌ただしく、椅子を用意し、かがみを半ば強引に座らせお茶を出す。

「今日は何てハッピーデー!!1日に二人もポケモントレーナーの卵がワシのもとを訪れるなんて!!」

「あ、あの・・・私、そういう訳じゃ・・・!!」

「なーに!!遠慮することない!!ほれ選べ!!お主の最初のパートナーを・・・!!といっても先客がおるから2匹の内からじゃが・・・」

「いや・・・だから・・・」

勝手に舞いあがるアフロ老人に完全置いてけぼりのかがみ・・・。

そんなかがみをよそに、アフロ老人はかがみの前に2つのモンスターボールを突き出した。

「あ・の!!私、ポケモントレーナーになる為に来たんじゃないんですけど!?」

かがみがしびれを切らし、つい大声を挙げてしまう。

しかし、かがみは後悔なんてしていない・・・

こっちは一大事なんだ!のんきにこの人の言うことに付き合ってはいられない!!

「まぁ・・・じゃろうな。」

「・・・は?」

意外にも無反応に淡々と答えるアフロ老人にかがみはキョトンと目をテンにする。

まるでこの老人が今かがみの置かれている状況を理解しているようだ・・・。

「じゃろう・・・って、あなた一体・・・?」

「ワシはアーヤス地方を代表とする天才博士・ムギーじゃ!!よろしくのぉ!!」

「アーヤス・・・?聞いたことないわよ?そんな地名・・・せめて分かる土地に飛ばしてくれ!!」

この街に入った時から感じていた不安がかがみの中を一気に駆け抜けた!!

かがみの希望としてはせめてカントーとか分かるとこに飛ばして欲しかった。

かがみはガクッと肩を落とす。

「まぁ・・・気にするでない・・・。」

「・・・で?なんでムギー博士は私たちの状況を知った風なんですか?」

「さっき聞いた。」

「聞いたって?誰から?」

かがみは驚きながらバッと立ち上がった。

自分のこの状況を知ってる人間がいる。

そう思うと妙に希望が底から湧き出てきた。

「ん?もう帰ってくると思うんじゃが・・・」



「アフロ博士〜!!」



ムギ博士の言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、大声で博士を呼ぶ声がした。

かがみにはその声がどこかで聞いたような・・・馴染みの深い声・・・

「博士〜!!買って来たよモンスターボール!!」

その声の主はムギの下へと駆け寄り博士に買ってきたボールを見せびらかす。


「・・・あ」


それは青い髪にピョンと飛び出たアホ毛・・・泣きボクロがトレードマークの小さき姿。

「こなた・・・?」


かがみが呟くように言う。

そしてようやくこなたが気づく。

「あ・・・かがみ」


互いに見つめ合ったまま二人とも・・・それ以上に言葉が出ない。


「・・・」

「・・・」

しばらくの沈黙が続く。そして、それを破ったのは・・・


「やっぱりかがみんも来てたんだね〜!!」

不意にこなたが嬉しそうにかがみに飛びついて来た。

「ちょ・・・こなた!!」

突然の不意打ちにかがみは柄にもなくあくせくする。

「かがみんのことだから寂しかったんでしょ?一人で・・・ね?」

こなたがかがみの頭をまるで小動物を慰めるように頭を入念に撫でる。

それにかがみは体をビクリと震わせ、ようやくこなたを自分から引き剥がす。

「じょ、冗談・・・!!んな訳ないでしょ?それより私としてはこんな非常識な展開に大混乱よ!!」

かがみは口では強がるものの、内心は泣き出しそうなくらいに安心感が沸いていた。

「で?こなたはこの状況に心当たりはないの?」

かがみが一番原因臭い人物・こなたに早速現状説明を求めるが、期待儚く、こなたはあっけからんと「知らない」と答えた。

「そっか。」

かがみは少しがっかりと来たように再び椅子に座る。

まぁ分かってはいたが・・・これで手掛かりはなしだ。

そう思うと自然と憂鬱になってくる。


最初は夢と思ってはいたが・・・このこなたの反応でなんとなく夢でない気もしてきた。

「でもさ私、思うんだ・・・せっかく憧れのゲームの世界にいるんだから、そんな後ろ向きに考えずに純粋に楽しんだらいいじゃないかって・・・。」

こなたが落ち込むかがみに元気づけるように励ましの言葉を掛ける。

確かに・・・かがみは先ほどから少し色々後ろ向きに考えすぎた・・・。

もし・・・このまま元の世界に・・・夢から戻らなければ・・・

そんな事を思うだけで気が滅入ってしまい何もする気も起きなくなる。

ならばいっそこの状況を楽しんでみてはどうだ?

・・・というのがこなたの意見だ。

「そうね・・・」

かがみは静かに頷いて見せる

そして、踏ん切りが着いたのか、大きく息を吐くと、この世界に来て初めての笑顔を見せた。

「やってるうちに手がかり見つかるかもしんないしね?」

「そうそう!!チャンピオンになってハッピーエンド目指したらいいんだよ!!」

こなたが目を光らせて言う。

どうやらこなたはもとよりポケモンマスターになる気満々だ!

「全くこなたに教唆されるとはね・・・」

「ふふふ・・・」

こなたがニンマリ顔で机に置いてあった二つのモンスターボールを手に取るとかがみに差しだした。

「ほれ、選びな?一緒に頑張ろう!!」

「これ、何入ってるの?」

かがみがふと思う。

「出してみる?いいよね?博士!!」

「・・・うむ」

博士の承諾を得るとこなたはモンスターボールからポケモンを出した。


「チコリータとゼニガメかぁ・・・」

「ワシが各地でゲットしたポケモンが生んだ卵から返ったポケモンたちじゃよ?」

ムギ博士が少し懐かしそうに、2体のポケモンを覗き込む。


「ん〜・・・じゃあ、チコリータにしよう!!」

そういうとかがみはチコリータを抱きかかえる。

「どしてチコリータ?」

「え?私、基本的に最初選ぶのは草タイプだったし・・・。」

「え?そんな理由!?実際に一緒にいるパートナーなんだからもう少し真剣に考えようよ」

意外にも、適当な理由でチコリータを選んだかがみにこなたは正直驚いた。

「チコッ!!」

チコリータは愛くるしい声を出しながらかがみの頬に擦り寄ってくる。

「いいじゃない!この子もこんなに懐いてくれてるし・・・。」

「まぁかがみがいいんならいいんだけどね?」

「あんたは何貰ったのよ?」

チコリータを床に下しながらかがみがこなたの貰ったポケモンに興味を湧かせた。

するとこなたは自慢そうに笑いながら自分のモンスターボールを取り出す。

「私はこれだよ!」

こなたはボールからポケモンを出す。


「ヒッコ!!」

「ヒコザルだっけ?」

こなたらしいといえばこなたらしいポケモンのチョイスにかがみはこなたの言葉なしにしてそのチョイスに納得した。

「今のところ、あんたのほうが相性的に有利ね?」

「いやいや・・・ポケモンバトルは相性だけじゃないよ?」

こなたはそう言いながらヒコザルをモンスターボールに戻す。

かがみもそれを見るとチコリータをボールに戻した。


「じゃあ、とりあえずあんたはポケモンマスター目指すの?」

「うん!何事もやるからには徹底的にだよかがみん!!」

こなたは声を弾ませながら言う。

どうやらかなり本気らしい。

「かがみもポケモンマスターやんないの?」

「うーん・・・どうしようかな?私はとりあえず確かめたいこともあるし・・・保留かな?」

かがみは少し悩み言った。

どうやら、ポケモンマスターより、やはりさきに自分たちのこの状況を詳しく知る必要があると思ったからだ。

「まぁいいや!私はやるよ!!ポケモンマスターになってサトシを倒すんだよ!!」

「あぁそうかい・・・頑張ってね。」

素気ない素振りをしては見せたがこんな時でも「楽しむ」ことを忘れないこなたの精神にかがみは正直感心していた。

まぁ呆れもしていたが・・・



「お主ら・・・旅立つ前にほれ、ポケモン図鑑と冒険リュックじゃ!」

博士が奥から小さめのリュックと、色違いの青と赤のポケモン図鑑をかがみとこなたに渡した。

「おぉ!!なんかいよいよポケモントレーナーっぽくなってきたね!!」

「ありがとうございます!!」

こなたが青、かがみが赤のポケモン図鑑をそれぞれ受け取る。

「よし、まずはジム戦だ!!」

こなたは一人気合いを入れる。

そんなこなたにかがみは落ちつけの一言で鎮めようとするがまぁ無理な話である。

「こっから一番近いジムはトウハトシティにあるトウハトジムじゃな。」

「よし、まずはトウハトシティだ!!」

「ま・・・行くあてもないし、まずはそこね・・・。」

二人の意見は一致し、とりあえずトウハトシティが二人の最初の目的地だ!!

「トウハトシティの途中にはコノミタウンがあるから寄るといい。」

「はい。ありがとうございます!!」

突然、やってきた不思議な世界・・・ポケモンワールド・・・

かがみはその謎を明かすため・・・

こなたはかなり本気でポケモンマスターを目指すため・・・

それぞれの旅が今始まった!!

さぁ最初に目指すは、コノミタウンだ!!



続く


あとがき


どもぽちゃです!!

ごめんなさい!!らき☆すたファンの人!!

というか・・・完全自分がやりたかっただけです!!ごめんなさい!!

まぁ楽しめる人は楽しんで下さい!!

あ、後、町の名前とか人物の名前とかはスルーで・・・

全部分かるかな?